Vol. 6 TBー17とは (2001/04/13)
縁あって我が家へやって来た、ヰセキ社製トラクターTB-17。こんな古いトラクターに触れるのは私も初めての経験です。最新のトラクターとのメカニズムの違いに興味津々です。まず、レストアするのに大切なのは部品の欠品がないこと。現在、こんな古いトラクターに供給できる部品を望むだけ無駄でしょう。幸いこのトラクターは2年位前まで実動していたこともあり、欠品は殆どなく、程度もレストアベースとしては極上のようです。エンジンの始動も直ぐにでも出来そうな雰囲気を感じます。
我が家へやって来た、ヰセキ社製トラクターTB-17。
前から見る姿に特徴があります。
ボンネットを開けると見慣れない形のエンジンが姿を現します。
空冷ディーゼル2気筒 822cc エンジン、川崎航空機工業(株)製造。
特徴ある姿は強制空冷のファンが最前部にあるためです。
反対側はシュラウドに囲まれたエンジン部。
とっても大きなセルモーターが付いています。
エンジン最前部、ファンダクト先端にダイナモが付いています。
おっと、これはポルシェ911と同じレイアウトです。

このトラクターの前から見る特徴ある姿は、エンジンの冷却が強制空冷ため、エンジン前部に空気を導入するファンが付いているからでしょう。もし、水冷でラジエターが付いていたら、角張った四角を基調としたデザインになったのでしょうが、冷却ファンゆえ、丸みを帯びたデザインになったことが想像出来できます。これは、かのポルシェのトラクターも空冷だった為、外見も似たのでしょう。(個人的には似すぎている感もありますが)
現在(といっても、ずっと前から)、日本で製造されている空冷トラクターはありません。(輸入車には今でもあるのか未確認)。空冷の方がメンテナンスは楽なのですが、ボンネットの開口部を大きく取らなくてはならない為、騒音が問題となってしまいます。それと現在は、小型のエンジンでも3気筒、4気筒化された為、空冷では各シリンダー間の均一な冷却が難しくなって来たのでしょう。ポルシェ911がたどって来た運命にも似ています。

何か昆虫的なマスクです。 どんな作業機を取り付けて
働いて来たのだろうか。

車体部のプレートには1967年3月の文字が
製造メーカーに萱場工業(株)。
これは現在のKYB・カヤバなのです。
機関に貼られたプレートが貴重な情報に
なります。
エンジンの製造は川崎航空機工業(株)。現、川崎重工の1部門。
当時のトラクターは各部専門メーカーの集合体であったようです。

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